メカニックの意地|愛媛リールメンテナンスサービス

おおかたの魚釣りに必要な道具といえば、”リール”。ひとくちにリールといっても、スピニングリールからベイトリール、レバーブレーキのついたリールから、カウンターやモーターのついた電動リールなど、その種類は多岐にわたります。その上、番手大きさや年式、さらにはそれらが各社から発売されていることを考えると途方もなく奥深い”リール”の世界。今回はそんなリールをメンテナンスするお仕事をされている、「愛媛リールメンテナンスサービス」メカニックの門田啓介さんにお話を伺いました。

リールメンテナンスって何?

(門田啓介さん以下敬称略)
ーーリールって、やっぱ定期的にメンテナンスとか、オーバーホールとかっていうのはした方がいいんですか?

門田:そうですね、淡水やったら砂噛んだりとか、海水やったらどうしても使えば使うほど塩分がたまって不具合が出てくるんで、定期的にやれるのが一番いいかな。って思ってますね。

ーー自分が違和感を感じたときとかに、依頼すればいいのでしょうか?

門田:基本的には人によって使用頻度も結構違うんで、一概にどれぐらいっていうのは難しいんですけど…おすすめは1年に1回ぐらいがいいかなって感じですね。機械物なんで、どうしても不具合が出たり壊れたり、突拍子もなく何かトラブルが起きたりっていうのがあるんで、それを防ぐためにも定期的なオーバーホールというかメンテナンスみたいなものがやっぱ必要かなとは思いますね。

ーー修理に関して、例えばどういう修理が多いのでしょうか?

門田:そうですね…修理に関しては、使用の違和感とかっていうのが一番多いですね。やけん、もうあとは、完全にどっか動かんとか。クラッチ切れないとかっていうところですね。オーバーホールがやっぱり主ではありますけど…古い機種で、どうしても直したいっていう依頼とかは多いですかね。

依頼主の思い

ーー直して使いたいって依頼されるんですね

門田:まあ、どこまで直せるかみたいな話になったら、現行品なら部品があればどうにかなるっすね。ただ、古いものに関しては、部品がなかったりとかしたら、流用するか、できるだけいろんなものをストックしとって、それを使って、どうにか使えるようにするって感じですね。
ーー流用っていうのは、他のものを取り寄せて?

門田:似通った使える部品を加工するときもあるし、その、バネとかに関しては、ある程度の規格があるんで、それを探してきて長さを合わすとか。部品がなくなればどうしてもちょっと難しいんですけど、もう、どうにかこうにかして直すみたいなことが多いっすね。

ーー依頼中、部品を探してくれたりとか、結構してますよね。

門田:はい。とかまあ、ニコイチにしたりとか。ハハ

ーーニコイチというのは、2つを合わせて完璧な一台にする。みたいなことですか?

門田:そうですね。いいとこ取りしてどうにか使えるようにしてほしいっていうのは、たまにありますね。
門田:あと、お客さんの中には、一時期釣りしてなくて、また始めたいみたいな人もいて。これなんかそうですけど、昔のすごい古いエアリティですね、初期の。また釣り始めたけん、もっかい使いたいみたいな。一応、不具合は今のところないけど、なるべく綺麗にオーバーホールしてもう一回使いたいって感じですね。

門田:旧ダイワロゴなんで、多分20年ぐらい前のものじゃなかったかな。まあ、めちゃくちゃ綺麗には残っとんですけど、なんかやっぱ当時の思い出があるじゃないすか。全然今の安いリールのほうが使いやすいんすけど、これをとりあえずまだ使いたい、みたいな。ですね。

ーーこれも当然部品はないですよね。

門田:これはないっすね。やけんもう、ベアリング類を一新して、今んとこ不具合ないんで、とりあえず、なるべくオーバーホールしてやってっていう感じですね。これぐらいの年式やったら古いの転がってたりもするんで、それを安く手に入れて部品だけ取ったりとかっていうのもしますね。

ーーなんか車屋さんに似てますね。

門田:あーそうですね。車修理とか、確かに似てますね。

メンテナンス作業ってどんなもの?

ーー1台に関する作業量、流れみたいなのを簡単に聞いてもいいですか

門田:流れ、そうですね。まず物が届くじゃないですか、で、とりあえず今現状で動かしてみたりとかして、どこがどんな感じかって。機関とか、その動作はどうかとか、ベール、ラインローラー回っとるかとか、これってベール下がりしとるかどうかとか、ていうのを見て、何となく”山だて”してバラす、みたいな。
門田:それはまあ、不具合がなかったらなんですけど。不具合があったらそこら辺を重点的に見ていくんですよね。まず動作の確認とか、外観からできることをしてみて、バラしていくときは、そのパーツが正常かどうかとか、その過程でベアリングがきっちり良い状態かどうかっていうのを見てますね。

ベアリングのストック

門田:で、分解終わって。まあベアリングはもちろん、悪いもの全部一旦交換するんですけど。そこで必要な部品があればピックアップ。もしくは要らなかったらもうそのままで、グリス・オイルで組んでいって…
門田:最終やっぱり仕上がり具合があるじゃないすか。結構、消去法なんすよね。結局どこが何か悪いってなったら、とりあえず悪いところ変えて、ベアリングをひと通り替えて組んでいって最後「でもやっぱり駄目」ってなったら、じゃあギアかなとか。最終組んで回してみんとわからんのですけど、でもそれをなるべくパーツ単位で見ていって、不具合がないかを確認していくみたいな。

門田:もう本当、消去法っすよね。で、もうここまでして、悪いとこないんで、ギア替えましょうとかっていうのは、その先はもう、見積もり出して、予算とかも確認してもらって問題なかったら、入れ替えるし…。それが一通り作業の流れって感じですね。

ーー今までの経験とか知識を持って、まず検討をつけるんですね。

門田:そうですね。何となく不具合がある場合は、何となく見立てをするというか、先に、多分ここが悪いだろうっていうところは重点的に見ていくみたいな感じですね。
ーーバラして一回洗浄するんですか?

門田:基本的にはやっぱ、古いオイルとかグリスを流してやったりしてまた新しいもの入れて…みたいな。グリスとか黒くなってたりするじゃないですか。あれってやっぱギアの磨耗で、鉄粉だったりゴミであったりとかっていう。結局、組み上げたときにそれが要因になって不具合が残ったらもうどこが悪いかっていうのがわからんなる。基本的に全部綺麗な状態にして、新しいものを入れて組み直すっていう感じですね。

ーー鉄粉を取り除いたりするのに、やはり洗浄することが必要なんでしょうか?
門田:とりあえずそうですね、基本的に今のシマノのマイクロモジュールっていうのは、もうすごいちっちゃいゴミが1個噛んどるだけで、かなりその機関が悪くなる。なんで、洗浄は意外と大事っすかね。で、オイルやグリスを新しいもの綺麗なものに入れ替えて組んで、最後、最終どういうふうなところを変えていくかっていう見積もりを作るというか。

メカニックの意地

ーー全工程で、どれぐらい時間がかかりますか?

門田:そうですね。組み上がり方とか状態次第でだいぶ変わってくるんすけど大体1時間〜1時間半ぐらいは見てますね。余裕を持って。いい具合が出ないとかやと…きりがないんすけど、どこまで落とし込むかみたいなところもあって、最後の最後まで仕上げでうまくいかんかったら本当、半日ぐらい使うときもなくはないんですよ。
ーーなかなか納得がいかないこともあるんですね
門田:やっぱり何か悪い気がするとか、その日にもよるとは思うんですけども。やり直すことはやっぱちょこちょこあります。

ーーいっぱい修理してらっしゃる中でも、まだやっぱり何だろうコレ…みたいなのはあるんですか。

門田:まだまだ結構、今でも何て言うんすかね、新しい発見があるんで、年々グリスもいろいろ試しながら、やっぱこっちの方がいいかなとか、結構日々変わる。最終行き着く先が、まだなかなか決まらないというか。
門田:まあ、これって決めてしまったらそれでもいいんすけど、なんかこう、悩んだときにもっかい、じゃあやっぱりこっちでしようか?とかっていうので、ま、たまたまその…問題解決したりすることもあるんで、日々悩みながらやってるところはありますね。

ーーいろいろ試しながら、ベストなメンテナンスを探してらっしゃるんですね

門田:そうですね。結構、感覚的なものではあるじゃないですか。いろんなオイルとかグリスがあって、それらのスペック的なものってあるじゃないすか。
門田:それ見て判断してこれが良いけん使う、じゃなくて、結局組み上がって、自分が巻いて気持ちいいかどうか。みたいなのが結構判断基準になっとんで、なるべくそこを重視したい。ってところですね。

ーー新しい機種とか。各社それを出していくわけですよね。勉強されたりするんですか?

門田:そうですねやっぱ新しいものは、買えるときは1台はこれ買おうかとか、展開図確認したりだとか、日々してますね。まあ依頼があれば早いですけど。笑

門田:ひと通りやっぱりちょっと確認してみたりとか。自分で迷う機種は結構買ってますね。古い新しい関係なく。めちゃめちゃお金かかってます。ハハ。自分のリールばっかり増えて…笑

こだわりの工具

ーー工具も多いですよね。プラスマイナスだけでもだいぶ種類あるじゃないですか。
門田:そうですね、4種類5種類ぐらいあるっすかねー。そんないらないかもしれないですけど、古い機種とか新しい機種で結構違ったりとか、マイナスの幅であったりとか、細さとか、ていうのが意外と…

ーーだから、工具を特注で作ってもらったりもしてるんですね。

特注の特殊工具を発注することもあるそう

門田:そうっすね、特殊工具は作ってくれるところがあるんで作ってもらったりとか。あとはあんまり工具の値段は気にしてないすかね。安いけん駄目みたいなこともないですし…意外と。ちょっとしたペンチとかも無駄に5、6種類あるんすけど、まだ今年も何回か買ってますしね。笑

ーーこれだけにしか使わんけど一応なくては困るんやみたいな、むちゃくちゃニッチな工具とかあります。

白い筒のようなものがドラグを緩める専用工具

門田:あー、むちゃくちゃニッチな工具かぁ。でも使用頻度めっちゃ少ないんとか言ったら、まあ、こんなんすよね、どっちかというと。

ーー何かこれ意外と地味な。

門田:何でしたっけ、シマノのステラのドラグを緩めて開けるためだけのすごい無駄な工具なんすけど。

ーーそれはシマノの製品の限られた番手の?

そうです。今の大型機種に使うやつ。これが1個前かな?これも一緒です。
で、これがレバーブレーキ用のシマノの特殊工具。
ーーブレーキの機種が来たときだけ?

そうすねシマノの一定の年式のやつが来た時だけっていう。笑 年に1回2回使うぐらいだけですね。

ーー特定の年式なんですね。

そうです。本当特定の年式っすね。もうちょうどこれなんですけど…これだけのため。

ーーその部分が取れるんですね。
そうです。これが取れないと下、全部バラせないんですよ。

ーーへえ。ただそれがないと先に進めないっていうことなんですね

そうなんすよ。これだけ、の工具。笑 ばらすときは絶対要るっていう。受けるか受けんかっていうとこもあるんですけど。受けん方がいいっすね、元取れるんで。笑

ー TO BE CONTINUED

プロフィール紹介
愛媛リールメンテナンスサービス
  • 門田啓介
    代表 / メカニック

さまざまなリールのオーバーホール、メンテナンスを請け負うメカニック。依頼主の思いを尊重し、これからも長く大切に使ってもらえるよう、愛着あるリールで再び「心に残る瞬間」を提供出来るよう、一台一台丁寧な仕上がりを心がけ、日々研究を重ねながらリールと向き合っています。
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