遊漁船とはなにか|RED SNAPPER II 船長:古川 雄也(ふるかわ ゆうや)
釣りというレジャーにとって必要不可欠な存在である「遊漁船」。顧客を楽しませようと日々奮闘する遊漁船の船長や経営者の方々の努力は、遊漁船業に新たな価値観を生み出し続けています。今回は、「RED SNAPPER II」船長の古川雄也さんに自身の遊漁船についての考え方やその人生についてのインタビューを行いました。
遊漁船を始めたきっかけ
ーー遊漁船をはじめた”キッカケ”とかってありますか?
(船長の古川さん以下敬称略)
古川:きっかけ…まぁ釣りが好きだったっていうのと、釣るよりも釣ってもらう方が嬉しかったっていうのと…あとバーの8席と、遊漁船の8席が全く同じ仕事だったということですね。
古川:僕、ホテルのバーテンダーが最初なんですけど、バーテンダーっていう職業ってお酒を提供したら終わりじゃないんですよね。お酒の提供した対価としてお金をもらうんですけど、その中にまぁそのサービスっていうところがあるわけじゃないすか。
古川:じゃあ「サービスってなんぞやねん」って言われたらまあね、十人十色いろんな形があるとは思うんですけど…
僕の中では、お金のかからないことを徹底的にやるのがサービスだと思ってるんですよ。
古川:例えば飲食店で言ったら水。お客さんって、お水が欲しいっていうのって、なかなかこれ言いづらいんですよね。で、実は、高級店になればなるほど言いづらいものなんすよ、あれって。
古川:僕はどっちかって言うと高い方のバーにいたんで。だからもう、タダのものを徹底的にサービスする。お水なり、おしぼりなり、空間作りなりっていうものを徹底的にやってたんです。
古川:遊漁船っていうのも、まぁそうだと思うんですけど…要は雰囲気なんすよ。雰囲気をいかに良くした上で、お客さんと楽しい会話をしながら魚を釣らせるかっていう話じゃないすか。僕にとっては全く一緒なんですよね。提供するものがお酒なのか、魚なのかってだけであって、あとはもう一緒なんで。なら、できるかなっていうところですね。
ーーお声がけですとか、そういったものをお客さんに合わせてされているということですね
古川:もう感覚ですけどね。自分ひとりの空間で楽しみたいっていう人ももちろんいるんで、喋ればいいっていう話でもなくて…
その人を読むことですよね。人を読むことが一番の仕事かなと思います。
ーーそれはバーテンダーのときのお仕事っていうのが活きてたりするんですか
古川:そうですね。100%生きてます。もうこれがないと僕、こんだけお客さんは来てくれないと思ってます。
やりがい
ーーこの仕事をされてて、一番やりがいを感じる瞬間とか、ありますか
古川:… 8人いたら、最後の一人って必ずいると思うんすよ。魚が釣れる最後の一人。これ毎日いつも必ずいるわけじゃないすか。その人って、かなりプレッシャーがかかってると思うんすよ。…
…の人が釣れたときかな。やっぱり、毎日一番嬉しい。
古川:だから僕はもう…いっぱい釣れなくていいんですよ、正直言って。みんなが楽しく、何枚かずつ釣れれば僕はいいと思ってるんで。ただ全員が釣れないと、ちょっとなっていうところはやっぱり僕はあるんで、全員が釣れるように今は心がけてます。
船長にとっての釣り
ーーお休みはどうされているんですか
古川:基本あんまり入れてなくて。よっぽどのことがあれば休みますけど、基本は入れてないっすね。だから風が吹けば休み。
ーーそのときってどういうことされてるんですか
古川:うちの奥と、デートにいくか。犬と遊ぶか。ぐらいかな…アハハハ。外には出ます。

ーー釣りとかもされるんですか
古川:釣りはしないっすね。もはや自分で釣るっていうことにあんまり興味がなくて。だから今日1回も竿握らなかったでしょ?釣り座は空いてるのに。別に釣りに興味がないわけじゃないし、めちゃくちゃ興味はあるんだけど…自分で釣ることにあんまり意義を覚えてないと言うか。
ーーでは釣りしたいなって思う瞬間も?
古川:ほぼほぼ、ないですね。ほぼない。
ーーでも人に釣ってもらうということに関しては…
古川:それが僕の釣りみたいなもんです。笑
ーー釣りっていろんな価値観あるんですね!
古川:いろんな価値観があります。正直言って。
遊漁船の船長で、自分でね、釣りするのが好きでやってる人っていっぱいいると思うんですけど… 僕の場合、もはや自分で釣るのはもうどうでもよくなってて、それよりも船を動かしていかに全員釣らすかっていうところに命かけてるんで。笑
ーーそれが船長の釣りってことなんですよね
古川:そう。それが僕の釣りなんすよ。けれども、お客さんに対してね、こうやったらいい、ああやったらいいって言って押し付けちゃうと、押し付けの釣りになるんで、それが嫌なお客さんも必ずいるんで…それをやらずに、どこまで…駆け引きというかその…そういう押し付けをせずに、どこまで釣らすことができるかっていうのが俺の勝負。まぁ、うまくいくときもあればいかないときもありますけどね。ただまぁそういう心がけの話ですよね。

魚へのアプローチ方法
ーー基本的には、船長にとって「釣りとは」っていうビジョンというかスタイルっていうものがあるんですよね
古川:ありますあります、ちゃんとあります。僕はドラグ1.5ぐらい締めるんですよね。これが100%ではないですよ?緩めないといけないときもありますけど、でも、釣りの本質として、魚に対してきっちり針をかけて上げてくるっていうのは大事なことなんだなと思うんで。
古川:ただ、ドラグがきついと当然ファイトって難しくなるわけじゃないすか。ドラグが出ないから。結局、その魚が1m走りました。だから1m竿を下げないといけないわけで、クッションをさせないといけない。
古川:だから僕釣りしたらもうこんなっ…こんなファイトですよ。フハハ。
僕はそれが楽しいなと思うし、あの1分1秒でも魚を早く上げてくるっていうのが僕は釣りの本質だと思ってるんで。僕はね。皆さんは別に好きにしてくれたらいいですけどね。
常連さんとは
ーー常連さんについて伺っても?
古川:いいですよ。
ーー常連さんって今何人ぐらいいらっしゃるんですか?
古川:いやもう数えきれない。笑
もう数え切れないぐらいはいらっしゃいますね。
ーー今日来られた方とかは、お話を聞くところによると、火曜日に定例会みたいな形でやってらっしゃるっていう。船の上で何されてるんですか。
古川:いやぁ遊んでるだけですよ。ワハハハハ。
ーーゲートボールみたいな?
古川:うん!そうそうそうそう!そんなノリ、そんなノリ。友達が寄り集まって、釣りしてますっていうだけの話ですね。
ーー常連さんとの関わりってどんな感じなんですかね?
古川:んー。僕はもうみんなに気遣いはするんですけど…向こうもやっぱ気を遣ってくれますよね。だから何だろう。一番の親友みたいな。友達…というかなんていうのかな。戦友?みたいなところはあるかもしれないっすねぇ…そんな感じ。笑
ーーあんまりベタベタしなくても考えてることとか気遣いはわかってるよみたいな
古川:わかる人が結構多いかもしれない。砕けた話は当然するんですけど、その人が砕けた話をどこまでしていいかっていうところの線引きですよね。
ーーいろんな常連さんがいらっしゃる中で、常連さんと1人1人との関わりを大切にされているんですね
古川:要は、その人の歩調に、僕も合わせてあげるってことですかね。みんな足の長さが違うんで、歩くスピードも違うじゃないですか。たまにこっちが駆け足になったりとか向こうが駆け足になったりするんで、そこをうまいこと合わしてあげて。で、遅くなったら、ちょっと上手いことを遅くしたげて。
ーーまさにバーのお酒を提供する感じですよね
古川:うん。何にも変わらないですね。だから、どこまでの線引きで、どこからどこを…越えていいのかいけないものなのか、もっと超えないといけないのかとか、ていうところですよね。
ーーリピーターさんが常連さんになるっていう瞬間っていうのは
古川:それはもう偶然でしかないっすよね、本当に。だって学校で高校1年生になって、1週間目ってオリエンテーションみたいなのがあるじゃないすか。その中で、どの瞬間でどの人と仲良くなるかってわからないじゃないですか。それと、一緒なんですよ。どの瞬間でどう仲良くなって、どういうふうにって言われたら…
それは…わからない。
古川:何か合うものもあるだろうし、向こうも何か感じ取るものとか絶対あると思うんで。だから、どこでどう転ぶかっていうのは分かんないですよね。
ーー常連さんになった瞬間ってやっぱり船長としては嬉しいですか?
古川:嬉しいですよ。やっぱりね、何て言うんだろう…本当戦友というか、一緒に戦ってくれてるお客さんであり、仲間であり、親友でありっていうところなんで。嬉しいですよね。

開拓の話
ーー開拓とかってされるんですか?
古川:開拓はめちゃめちゃ楽しいです。行ったことないエリアに、釣れるかなっていうところにスパっといって、バラバラバラバラって魚が釣れたときのあの快感。めっちゃ楽しいです。
ーーそれはもうどういうタイミングで開拓されるんですか。
古川:朝一にいっぱい釣れたときとか。もう魚いらないよね。ってなったりとかするじゃないですか。ふた流しで船中もう30枚超えました、とか。奇跡のミラクル的なところがたまにあったりするんですよ。そういうときに行ったりとか。あと、逆に釣れてないとき。勝負かけに。新しいところに探しに行く、誰もやってないようなところ。
ーーそれは普段からここちゃうかとかいうことを常々考えてるんですか
古川:常に考えてます。フフフ。
ーー開拓先でバーっと釣れたときとかにヨシってなっちゃうわけですか
古川:そうですそうです。
ーーなんか船長の顔がちょっと今ほころんでるんで、絶対そうだろうなと
古川:へへへへ。そういうのが好きなんですよ僕は。だから、何だろう…遊漁船同士は電話1本で繋がるんで、「ここで食ってるよ」「あそこで食ってるよ」っていう情報は全部もらえるんですけど、その人たちに頼っていいのかっていうところもあるわけじゃないすか。
古川:お金をもらうのは僕であって、その人にお金を渡さないわけですよ。うちのお客さんを連れてくっていうところもあるし…だから、自分で考えたところで考えたように釣れて、で帰るってのが一番理想的ですね。でも、現実はそればっかりではないですけどね。笑
頼る仲間もいますから。
将来像
ーー将来のことを教えていただいてもいいですか
古川:僕はこの海で一番になりたいとか、一番かっこいい船に乗りたいっていうのはまずないんです、実は。そんなものはどうでもいいんですけど。ただ、なんていうんでしょうね…努力し続けること。っていうのは大事だなと常々思っていて。
魚を釣らすことは、まぁその100%大前提の話なんですけど、それよりもさっき言ったような内容を、ずっと努力し続けること。が僕の一番の目標。
ーーこのお仕事をずっと続けたいって気持ちでしょうか?
古川:そうですね。僕はこれで飯食って、死んでいこうと思ってるんで。これ以外は、もうやる気はまずないです。ハハハハ。
ー TO BE CONTINUED



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